大規模区画整理は既存の商店街をフィルターにかける。
新規投資をし、場所を移転してでも営業を続けようとするところと、
今回の取り壊しを機に商売を断念するところの色分けである。
事情は各々異なるため詳細は不明であるが、消えていった店もまた多かった。
佐藤文具店角
井上餅屋
「かすみだんご」の井上餅店は、霞城公園南口前に店を移して現在も営業を続けている。
階段を上った先にも幾つかの店が入っていたようだが、車で通過する身にはその存在は意識できなかった。
徒歩で初めて気づいた看板も、通行人の気持ちを捕らえ、階段を上らせるまでの力は持たなかった。
喫茶店跡と正体不明の廃屋
放置されてかなり経っていた
この近辺では、この荒れ果てた建物が最も遅くまで残っていた。
立ち退き拒否だったのか、所有権不明だったのか定かではない。
城南不動産 阿部酒屋
城南跨線橋付近は立ち退きも早かった
商売を続ける見込みの立たない店たちは区画整理を機に場所を明け渡し、大規模店に置き換わっていった。
路地に入る
商店街とはいえ、裏には樹木が生い茂り、そこここに板塀や板壁も見受けられた。
半田商店の石倉庫が見える
聳え立つ地上24階の霞城セントラルビルに睨まれた古い建物たちが次々と潰えて行く印象だった。
長い時間をかけて形成されたひとつの街が、雪に湯をかけるような勢いで姿を消してゆく。
2001年