蜂屋本店閉店

 

 

文字の向きが歴史を語る

 

 

2001年末、山形市内有数の歴史を持つ店が閉店した。

 

 

大沼デパートの向かい側に位置した

 

蜂屋本店は、明治十年代に現在地の向かい側(大沼デパート側)に蜂屋時計店として

高く聳える時計台をトレードマークに創業した。その後、明治43年に現在地に移転した

時にもやはり建物は時計台付きのものだった。土台となる建物は土蔵づくりで時計台は

現在の建物を越えるほどの高さのある立派なものだったようだ。

 

 

      

120年に亘る歴史の幕が閉じられた

 

 

  

高級感あふれる店内

 

時計が高級品であったのはそれほど遠い昔ではない。入学、就職祝いに腕時計を贈る

などというのは20年ほど前にはまだあった話である。輸入品は別として、時計といえば

セイコーかシチズンという時代が長く続き、価格も万円単位が当たり前だった。しかし、

デジタル時計が普及すると同時にカシオなどの新参メーカーが台頭し始め、本来の時計

メーカーは追いつめられてゆく。時計の価格相場は大きく崩れはじめ、針式(アナログ)の

腕時計は大きくシェアを落とした。

 

あわてたセイコー、シチズン両社はそれぞれアルバ、ベガというブランドを新設し、

セイコー、シチズンの名を汚さず腕時計の価格下落競争に参入することになる。時計の

相場は数千円が普通になり、ちょっとした買い物の景品になることさえ有った。安いから

狂うというものでもないため、多くの人はこの価格帯の時計で日常生活を済ませるようになった。

 

 

その後デジタルブームが一段落すると、再び針式時計が見直されてきたが、既にこの時

には中身は機械式のアナログではなく、電子式になっていた。後発デジタルメーカーも難なく針式のものを発売し、

簡単には引き下がらなかった。

 

更に海外の工場で大量生産する時代になると、1つ100円という格安の時計も現れ、

そこそこ役に立つ、という事態に至った。一方でブランドものの高級時計を求める層が

いることも事実であったが、以前のような贈答品時代の需要は掘り起こせてはいない。

 

 

蜂屋本店  明治14年(推定)〜平成13年

 

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