4.小白川 オーヌマホテル

 

 

 

 

 

大沼デパートの系列であったホテルオーヌマは昭和41年に開業し、山形に来訪する一般客のほか

山形大学にほど近いこともあって受験シーズンには受験生のもっとも安心できる宿として定評があった。

 

 

   

 

  

 

雪国山形では、冬の受験シーズンは同時に不意の降雪のシーズンでもある。朝目覚めてみると

深夜のうちに音もなく大量の雪が降り積もり、大いに驚くこともある。普段の日ならそれでも良いが、

受験当日朝に交通が止まるような豪雪になったのでは目も当てられない。

 

いくら大雪になろうとも受験会場に遅れずに行けるオーヌマホテルはそういう意味でも

受験の宿にうってつけだったのである。山形大学まで徒歩5分という立地であった。

 

   

 

 

山形駅から離れている分はバス、タクシーの交通網でカバーでき、同じく冠婚葬祭もこなす

ホテルキャッスルやグランドホテルとも共存できうる実力のあるホテルだったように思われる。

 

 

以前、絨毯工場や市の資料館があった南側の敷地には多くの費用をかけて庭園が築かれていた。

 

 

  

 

しかし、格安を謳う今までとは違った種類のホテルが台頭し始めると事情は変わってきた。

受験生はもとより宿に豪華さや上質さを求めてはいない。寝床さえあればいいという人たちは

山形駅周辺に乱立し始めた一泊4000円程度の新興のホテルに宿をとるようになった。

 

 

  

 

オーヌマホテルの周辺は閑静な住宅地であるため、受験生が泊まる環境としては大変良いのだが、

教育費のかさむ中、世の不況も進み、一時のような受験の宿の性格は薄れてきてしまった。

 

 

 

 

単に宿泊だけでなくエステ機能を強化したり、会議、セミナー会場としての利用を促進したりと

努力も続けられたが、同時に建物の老朽化の問題もあった。1960年代の建造ということで

新鋭の施設とは保守、メンテナンス面での差も出つつあったのだろう。

 

  

 

2008年、撤去されたオーヌマホテルの跡地は宗教法人の所有となった。

しかし、2013年時点でも跡地はそのままで今後の活用が見えてきてはいない。

 

 

オーヌマホテル  1966-2008

 

 

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