現在でこそ人口急増地域となった芸工大周辺であるが、芸工大が出来て暫くの間は
農村の面影を強く残す、日本の原風景そのものであった。
今ではびっしり住宅が建ち並ぶ道の端も、秋にはススキがなびき、赤トンボが飛ぶだけの
牧歌的な風景であった。今はあれだけいた赤トンボの姿さえも稀になっている。
広大な田畑は宅地と道路に
小川はコンクリート側溝に、石垣はコンクリート基礎に、そして野仏はどこかに消えた。
大学周辺が住宅ばかりになった今、芸工大の学生が野菜を販売している姿が時々ある。
このときのまま、大学前が畑だった方が良かったのではなかろうか。
大学前の熊野神社は鬱蒼とした神木に覆われ、昼でも暗い境内が
神秘的な雰囲気を醸していた。今は住宅区の中に取り込まれ、
向きを変えられ、神木も伐採されてしまっている。歴史より経済か。
東北芸術工科大学周辺 1999頃
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