熊沢商店(山辺町)
店名は半分しか見えないが、福助の絵が来客を迎える。
何十年子供たちを見守り続けただろうか。
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熊沢商店は山辺町ふるさと資料館の近くにあった。店内には駄菓子やアイスクリームなどのほか、プラモデル、ミニカー、人形といった
子どもの喜ぶものばかりが所狭しと並んでいた。
店にいるのは小柄なおばさん1人。店には近所の子どもがひっきりなしに訪れるとともに、昔を懐かしむ大人の姿もよく見かけた。
おばさんは子どもだけでなく大人にも変わらず律儀に品物の説明をしてくれたり、おまけを付けてくれたりした。
短時間でもここに寄ると気分は子どもの頃に帰って癒されるのだった。
店内に並んでいる商品は最近ではコンビニにも置いてあるが、コンビニでは子どもはそれを無言でレジに運ぶだけである。店員からの話し掛けなどありはしない。
駄菓子屋の値打ちは商品にとどまらず、会話にあったように思う。限られた小遣いを有効に使うために子ども同士が相談したり、
店主のアドバイスを参考にしたりして社会性を身に付けていった。計算もあいさつも・・・。
2013年。おばさんは、58年続いた店を畳む決断をした。
子供たちは相変わらず訪れていたのだが、おばさんには体力的に厳しくなってきたのだと思えた。
駄菓子屋が代替わりを経て続く例は非常に少ない。
熊沢商店もその例に漏れず、この年の12月で歴史を閉じたのであった。
熊沢商店 1955-2013年(昭和30年~平成25年)