サテライト朝日

 

 

農繁期を過ぎた農村地帯には、かつては働き手はいなくなっていた。首都圏をはじめとした人手不足の

都会に、出稼ぎに行くのが常であった。村には老人、女性と子供が残るのみで、半年ほどは成年男子は

不在になっていたものである。しかし近年は首都圏といえども不況であること、働き口があったとしても

他国から来た人が安い賃金で就労するため、割が合わなくなってきたこと、また、農業人口のかなりの

部分の人が他の職業を持つ兼業になったことから出稼ぎは激減した。しかし、農閑期にやることがなく

時間を持て余す人は依然多く、そういう人々を狙ってわざわざ人口の少ないのを承知で

平成17年6月に山形県朝日町に山形県初の競輪場外車券場「サテライト朝日」が開設された。

       

 

1Fには一般席320席、車椅子席(6席)無料、2Fには特別観覧席(88席)1500円、VIPルーム(30席)3000円を設置。

自動発払窓9窓、自動発売窓8窓、有人発払窓4窓、250インチオーロラビジョンを備え、年間19億2000万円の売上を目標としていた。

 

 

 

単独の車券購入者のほかに家族連れの来訪にも積極的だったようだが、警備は厳しく、写真の撮影や

未成年立ち入り制限区域への子供の立ち入りなどは警備員の注意の対象であった。

当然のことながら、記録としての本サイトの撮影も警備員により制限され、全施設を記録することは能わなかった。

 

 

    

 

娯楽の少ない地域にあっては、特に農閑期の集客施設として健闘していた。とはいえ、山形市、天童市など

人口集中地域からは遠く離れた朝日町の立地では限度があった。いくら自動車依存社会とはいっても特に冬季に

豪雪の朝日町に車を向かわせる人はそう多くはない。目標19億あまりに対して、平成19年度売上高が11億7000万円にとどまり、

売上額面は他地区の場外車券場の半分程度で赤字運営が続いていた。親会社は不採算部門からの整理撤退を取り決め、

開業からわずか3年後の20年9月末に同施設を閉鎖。20年10月31日開催の株主総会の決議により解散となった。

 

朝日町は地元経済の活性化などを期待して誘致に積極的だったのだが、目論見は大きく外れてしまった。

町には売上額の1%が地元対策費として交付されていたが、それらも全て失うこととなった。 負債総額は23億8214万円。

 

 

サテライト朝日  平成17年~平成20年

 

 

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