山形市鉄砲町にあった山形交通の本社が富士ゼロックスの事務所となったあと、それまでバス駐車場に
使われていた広大な敷地に、洒落た褐色の建物が建った。「アサヒビール園」−北海道のサッポロビール園に
ヒントを得たと思われるこの企画が山形の地でどう受け入れられるか...。山形交通−ユトリアグループの大きな賭けであった。
ビール園建設前は山形交通本社バス置き場
交差点からもよく見える大きな屋根 昼からビールをどうぞ
ビールだけでなくランチも出す
ランチは500円 入り口
ビール園の500円ランチは数種類あり、名物にもなっていた。
落ち着いた色彩と直線を基調としたシンプルなデザイン
2001年12月31日をもって閉店
4年に過ぎない短い営業であった。事業としては全くの失敗である。この大規模な試みは何故失敗したのだろう。
経営側の腹には、かつてここが山交本社前というバスのセンターとしてのイメージを持っていたことに頼るつもりが
あったのだろう。「車で来れば飲めないが、バスで来るなら大丈夫。きっとビール好きがバスに乗り、群がってくるはず。」
しかし、その読みは酒飲みの習性を充分つかみきれていなかった。近くには2次会、3次会の場所もなく、午後10時には
バスもなくなってしまう。そんなところで優等生的な飲み方をしたいと思う酒飲みはそう多くはない。生まれながらに致命的な
条件を抱えたまま、何とか名物500円ランチで客をつなぎ止めていたものの、命脈は尽きた。
2001年の終わりを告げる除夜の鐘とともに幕を下ろしたビール園。
現在、下品な彩色を施されパチンコ屋に改装された姿は、建物自身が「いっそ
取り壊してくれれば良かったのに!」と訴えているようにも見え、痛々しいものがある。